株式会社デンソー

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多数ある計測機器をタグで所在管理
資産の点検業務が大幅に改善

株式会社デンソー エレクトロニクス技術2部 第2設計室 設計3課 様
行方不明のリスクを無くし捜索時間を67%削減

株式会社デンソー

世界初製品130以上、特許保有件数4.2万件という高い技術を誇る世界有数の自動車部品メーカー株式会社デンソー。 車載事業を手掛けるモビリティエレクトロニクス事業グループのエレクトロニクス技術2部第2設計室では、 製品の評価のためにさまざまな計測機器を用いるが、 多くの作業者が使用するため、機器がどこにあるのかわからず探索に時間がかかるという課題を抱えていた。 同室ではiFieldを導入することで、機器類がどのエリアにあるのかを検知する仕組みを構築。 探索時間を削減し、スムーズな資産管理体制を整えた。


共有する計測機器の所在管理に課題

同室が手がけているのは、キーレスやスマートシステムなど電波を使用した製品群である。 たとえばユーザーがキーのボタンを押すことで発信される電波を車載の受信機で受けて、 ドアロックが制御されるといったシステム製品などの設計を担っている。

電波を扱うこともあり、製品の品質管理はデリケートだ。 出荷までにはさまざまな検査項目を経ることになる。 同室内でも製品に対して、設計段階でさまざまな品質評価を実施している。 「たとえばキーレスの送信機はボタンを押せば電波が発信される製品ですが、 ボタンのフィーリングなどの機械的特性から電波の出力レベル、周波数、消費電流などの電気特性まで、 多岐にわたる評価が必要となります」(同室設計3課課長浦辺賢志氏)

こうした製品の評価には、さまざまな計測器を活用することになる。 計測器の数は約500台(室で所有するもの+レンタル品)。 計測器以外の固定資産管理している設備も含めて、数多くの設備を室内の作業者が共有する形で利用しているという状況があった。

多くの作業者で共有するため、機器を使用する際には台帳に記入するルールが定められていた。 しかし開発の都合上同時期に多くの作業者が使用するため、台帳への記入の徹底が現実的には難しい側面がある。 また機器も使った後にもとの場所に戻されるとは限らず、 そのまま別の棚やデスクまわりに置かれたまま次の人が使用して所在不明になることも珍しくなく、 計測機器の所在管理が大きな課題となっていた。

エレクトロ技術2部 世界初のものを含めさまざまな製品

エレクトロニクス技術 2部は、世界初のものを含めさまざまな製品を扱う


点検のたびに探索コストが発生

計測機器は年に一回、機器ごとに決まっている時期に定期点検を実施する。 点検の際は、その時期の点検対象機器を集めなければならない。 しかし、「誰がどこで使っているかわからない」機器が多く、そのたびに探索する必要が生じていた。

どうしても見つからない時にはメンバー全員を集めて一斉捜索を行うことになります。 また、実験室内だけでなく室外に持ち出されることもあり、工場などの別拠点に送られることもあります。 計測機器の点検時だけでなく、固定資産については年1回棚卸があるのですが、その際も同じようなことが起こります。 点検準備にかかる時間の75%が機器の捜索に費やされているような状況で、 この無駄な探索時間を解消することが私たちの普遍的な課題でした」(同課戸塚太樹氏)

台帳に記入するルールを徹底するという方向性もあるが、難しい側面もある。 それよりも、作業者・管理者ともに管理工数を低減できる運用へと振り切ることとした。

BLEタグで機器の所在を把握

そこで同室では、iFieldを導入し、すべての機器にBLEタグをつけることで、計測器・固定資産の所在を管理することを試みた。

「導入にあたっては機密性やコスト、期待効果、メンテナンスの負荷などの要件を総合的に評価しました。 メンテナンスの部分では、計測器の点検、固定資産の棚卸とも基本は年に1回なので、たとえば電池が1年もたないようであれば現実的ではありません。 また無線を扱う部署であったことから、評価業務に支障が出ないかも検証しました」(戸塚氏)

タグをつけることで、機器が室内のどのエリアにあるのかがリアルタイムでわかるようになり、 位置情報が検知できない機器も、最終検知記録からどのタイミングで外部に持ち出されているのか把握することが可能になった。 持ち出されている場合には、持ち出し台帳(計測器や固定資産を持ち出す際に誰がどこで使うかが記入された管理表)との照合を行い、 台帳への記載がない場合は作業者への聞き込みを実施するという流れが確立された。 1週間に1度程度システム上で台帳をチェックするだけで、資産の所在がわからなくなることをほぼ防げるようになった。

「iFieldの導入で、無駄な捜索時間を67%削減できたほか、 それまで2名体制で行っていた棚卸し業務を1人で対応できるようになりました。 また作業員も見つからない機器があるときは聞きに来ればすぐに所在がわかるようになり、作業効率アップにつながっています。 さらに間接的な効果として、回収時にすぐに引き渡せるため、レンタル側(社内・社外)の信頼度が上がっている点も挙げられます。 過去にはその場ですぐに出せず一緒に探してもらうケースもあったのですが、当室ではそうしたことがなくなりました。 今後は対象機器の拡大や、別の建屋への拡張も視野に入れています」(戸塚氏)

株式会社デンソー事例

機器の大小や形状を問わず、ほとんどの資産にタグを装着して管理できている

システムのポイント

  • 数百台の機器の所在を電池式ビーコンでリアルタイム管理
  • 棚卸しのたびに発生していた探索時間を67%圧縮。対応人員の削減も実現
  • 通常の利用時も探さずに済むようになり、作業者・管理者ともに管理工数が低減

お客様プロフィール

株式会社デンソー

愛知県刈谷市に本社を置く国内最大の自動車部品メーカー。 グローバル拠点35カ国、海外売上比57%と世界市場でも大きなシェアを占めるメガサプライヤーとして、 EVの核となるエレクトリフィケーションシステムやエンジンをコントロールするパワートレインシステム、 熱マネジメントのためのサーマルシステム、車載されるさまざまな制御系を司るモビリティエレクトロニクス、 先進デバイス、インダストリアルソリューションなど幅広い技術領域を担う。

業種
製造業
目的
モノの所在管理、業務効率化
関連サイト

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