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導入事例

株式会社技研製作所

株式会社技研製作所
iFieldの活用で売上に直結しない
「間接作業時間」を削減して生産性を向上
株式会社技研製作所 圧入機械事業部 様
動線の把握による配置変更とスマホアプリによる自動化・簡略化で改善を実現

株式会社技研製作所は建設機械メーカーとして 振動・騒音が発生しない無公害杭圧入引抜機「サイレントパイラーTM」の開発・製造・販売を行うほか、 高い技術力を生かした圧入工事事業も手掛ける。 同社では売上げに直結しない間接作業の削減による職場環境改善を目的にiFieldを導入した。 関西工場では工場内の動線を可視化することで間接作業時間が多い要因を特定、部品棚の位置を変更することで改善に結びつけた。 また関東工場では出張修理に際してのフローの一部を自動化・簡略化することで 作業者の負担軽減と時間外労働の削減を実現した。
作業員の動線可視化で移動の無駄を改善
主として機械のメンテナンスを行っている兵庫県の関西工場は敷地が5,550坪と広く、 工場内の移動時間が売上げに直結しない間接作業を膨らませる要因となっていた。 作業員が移動にどれくらいの時間を使っているのか、 移動時間がよく発生するエリアがどこなのか、 人の動線の可視化ができれば、 間接作業時間の削減と直接作業時間への転換が行えることから、 iFieldを活用することとなった。
まずは広い敷地内の工場建屋で、 作業ヤードと部品置き場、倉庫のエリアそれぞれの滞在時間を把握すべく、 作業員の動線を可視化して改善個所の特定を行うこととした。
建屋内にビーコンを計54個設置し、 エリア別で滞在時間を計測した結果、作業エリアではない場所で多くの滞在時間が発生していることが分かった。 原因はその場所に部品の棚があり、 作業員がわざわざそこへ行って部品を取ってまたエリアに戻るといった動線の無駄が生じていたことが判明した。

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- iFieldで作業員の動線からエリア別滞在時間を計測(関西工場)

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- 部品棚の位置を変更し再計測したところ非作業エリア滞在時間が減少(関西工場)
「この結果を受けて、部品棚を最適と考えられる位置に変更して再度計測を行ったところ、 無駄な動線が排除され、1カ月当たりの非作業エリア滞在時間は5時間削減されました。 この1件の改善で工場内の移動時間は年間60h削減されることとなり、 作業者の負担が軽減され、メンテナンス業務に集中できる環境が整いました。 今後は、工場の敷地面積の60%を占める屋外エリアの動線を分析し、 工場敷地全体の業務効率を目指します」(技研製作所 山﨑修身氏)
iFieldスマホアプリのさまざまな機能で
出張修理業務の負荷を軽減
千葉県にある関東工場でも関西工場と同様の業務を行っており、やはり間接作業時間の削減が課題となっていた。 その内訳を調査したところ、年間間接作業時間3,204時間のうちメンテナンス業務に必要な通常業務に相当するのは2,210時間であり、 それ以外の994時間がイレギュラーな間接作業時間で、 そこにはユーザーの機械が壊れたことによる出張修理が含まれることがわかった。 出張修理は年間320件で277時間を要しており、生産性低下の一因となっていた。
出張修理の流れは、「問い合わせ→準備→移動・到着→現地作業→移動・帰社→報告書作成・売上げ処理→通常の工場業務」という形となっている。 機械の故障自体をゼロにすることは難しいものの、 出張修理が発生した場合のプロセスや所要時間の短縮は可能であるとして改善活動を行った。
「出張修理のプロセスにおける問題は、フロントと現場作業者との確認作業に時間を費やし、 また帰社後の報告書作成作業が発生することから時間外労働の増加につながっていることでした。 そこでiFieldのスマホアプリのさまざまな機能を活用して、できるところを自動化・簡素化することによる改善を試みました」(山﨑氏)

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- 出張修理発生時の流れとiField導入前間接時間(関東工場)

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- iFieldスマホアプリ導入で間接時間が大幅に減少(関東工場)
改善点の一つは、出張時の通話による報告に時間を要してしまうことにあった。 これに対してはアプリの「位置情報の共有」による作業員の状況把握や、 出張者の現地到着と修理を終えて帰社した際に自動検知して管理者にリアルタイム通知する「自動チェックイン機能」を活用することとした。
もう一つの改善点は、帰社後の作業報告書作成に時間を要することだった。 これに対しては、アプリの報告書作成機能を活用して、現地で作業完了と同時に報告書を作成できるようにした。 この結果、従来1件あたり52分を要していた出張修理時の間接作業時間は15分に短縮され、 年間換算で80時間と従来の年間の間接作業時間であった277時間から72.2%の大幅削減を実現した。
「今後はiFieldの運用を社内にとどめず、 メンテナンス業務を請け負ってもらっている協力企業様にも展開し、 現場復旧への迅速性を向上させることで顧客満足度向上につなげていければと考えています」(山﨑氏)
システムのポイント
- 屋内と屋外の両方の現場で活用
- 作業動線や作業場の滞在情報からムダな移動を可視化し、改善できる体制を構築
- スマホアプリ機能による自動化や効率化を行い、間接作業時間を削減
お客様プロフィール

株式会社技研製作所
1967年に高知県で創業した建設機械メーカー。 建設公害であった振動・騒音が発生しない杭打ち機の開発に取り組み、 1975年に無振動・無騒音の杭圧入引抜機「サイレントパイラーTM」を発明。 さらにこの技術を応用し、既に打ち込まれた杭の上で施工を行う「GRBシステムTM」を開発して仮設構台を必要としない「仮設レス施工」を実現。 堤防や道路などさまざまな圧入工事で実績を重ね、工期短縮・工費縮減・CO2の排出量削減に大きく貢献しているほか、 圧入技術を生かした地下駐車場・駐輪場の開発も手掛ける。